「NHK交響楽団 ~ジョン・ウィリアムズの世界~」指揮者 原田慶太楼さん スペシャルインタビュー
6/27(土)「NHK交響楽団 ~ジョン・ウィリアムズの世界~」に出演する、原田慶太楼さんのスペシャルインタビュー
「ときめきがあるからこそ、素敵な音楽が生まれる。」
原田 慶太楼
音楽を愛し、深い読譜力と高いエンターテインメント性を併せ持つ、クラシック新時代のアイコン的存在の指揮者・原田慶太楼さん。映画音楽の巨匠、ジョン・ウィリアムズ氏の信頼も厚い原田さんが、6月27日にはN響とともにウィリアムズ氏の音楽をグランシップ大ホールに響かせます。ウィリアムズ氏との交流や公演の聴きどころ、ご自身の音楽観も語ってくれました。
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日本とアメリカで4つのオーケストラを率いながら、客演でも各地へ。「自分が3人欲しい!」と語る原田さんは、過去には静岡での演奏会にも度々出演してきました。静岡の印象を尋ねると「お客さんが優しいね」。さらに、「グランシップの個性的な外観に驚いた」とも。まずは人柄が垣間見えるエピソードから。
―高校生の時に、ミュージカルのピットミュージシャンを目指して単身アメリカへ留学されたそうですね。とても行動力があると感じました。
私のモットーは、「自分で、自分の道を切り拓かない限りは、絶対に何も起こらない」。16歳頃から1年後、5年後、10年後…50年先くらいまでの目標を紙に書いています。その紙を洗面所の鏡に貼って、歯磨きしながら毎日眺める。何歳までに何をする。そのために逆算してステップを考えるし、いつチャンスが来ても良いように、毎朝4時に勉強して準備もしておく。このルーティンは20年間ブレずに続けています。
―指揮者としての原点は、アメリカのインターロッケン芸術高校でのフレデリック・フェネル先生との出会いだったそうですね。
フェネルとの出会いは大きかったですね。当時私はサックスを学んでいて、「指揮者とは、奏者の前に立ってテンポを取る人」というイメージでした。でも、初めてフェネルの指揮で演奏したとき、「この人にしか出せない音楽があるんだ」と肌で感じて、即、指揮者になりたいと彼に伝えました。彼は立っているだけで音楽が聴こえてくるような人。あの時は、言葉にならないぐらい感動しましたね。
―クラシックだけでなく、ジャンルを超えて活動されています。一貫した価値観がありますか?
日本のクラシック愛好家は、人口の1%くらいだと思うから、残りの99%が会場に来る環境を作れば、クラシックも盛り上がるかもしれないと思っていて。だから、ブレイキンのバトルとコラボするとか、面白いことをやっているんですよ。「オールジャンルだよね」って言われるけど、それでよくない?みんながいろんな形で音楽を楽しんでくれたらいいと思っています。
―映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムズ氏のサポートも務めておられますが、出会いはどのようなものでしたか?
初めて会ったのがタングルウッド音楽祭。彼のファンで遠い存在だと思っていたけれど、初対面から優しくしてくれました。彼の誘いで、他の巨匠たちと一緒にアイスクリームを食べに行きましたよ。
―なぜサポートすることになったのですか?
タングルウッドで夏の数ヵ月間、一緒に過ごしたら仲良くなって。その後、私がアリゾナに住んでいるときに、ジョンがアリゾナのフェニックス交響楽団で振ることになって、リハーサルの指揮を任されました。それがスタートです。ちょうどその後ぐらいからシネマコンサートが流行り始めて。シネマコンサートは、スクリーンに映像を映して、劇伴などの音楽を生オーケストラで演奏するという演奏会。映画「E.T.」のクライマックスで、自転車が飛ぶ名場面がありますよね。あの瞬間、チャ~ラ~リララララ~♪って鳴らなかったら大ブーイングですよ(笑)。ちょっとでもズレたらクビ。指揮者にとっては超ハイプレッシャーだけど、私はすごく楽しかった。
―多くのジョン・ウィリアムズ作品を指揮されました。彼のすごさはどんなところでしょうか。
音楽で物語を成立させられることがすごい。例えば「ジョーズ」は約2時間の映画ですが、サメが実際に出てくるのは、わずか4分ほど。それ以外の時間は、「サメがいる」という気配をすべて音楽で作っている。姿は見えないのに、ずっと怖い。音楽の力って本当にすごいなと感じます。多くの人が好きな音楽がどのようなものかを理解した上で、オーケストラのサウンドにこだわり抜く。ありそうでなかった音楽を生み出した彼は、今世紀最大のメロディストだと思います。
―今回のプログラムは、どのようにして決めましたか?
軸は「スター・ウォーズ」。そこから「E.T.」「ハリー・ポッター」「インディ・ジョーンズ」など、定番中の定番を選びました。1984年のロサンゼルスオリンピックのために作られた「オリンピック・ファンファーレ」も。この音楽を、ホールで生で聴いた瞬間、かつての思い出にタイムスリップできるような構成にしたかったからね。
―「スター・ウォーズ」の曲が充実していますね。
「スター・ウォーズ」は、エピソード4から6の作品を選曲しています。その中で、どうしても入れたかったのがエピソード4に登場する「酒場のバンド」。オーケストラでは滅多にやらない。というより、できないんです。スティールパン奏者が必要なので。でも今回は、私のコンサートの時に出演してもらっている演奏家にお願いして、珍しい編成で演奏します。ジョンが、「ベニー・グッドマンが宇宙人だったら」と想像して書いた曲で、ジャズの即興も入っています。普段そういう演奏をしないN響に、それをやってもらわなければ(笑)。
―N響との共演について、どんなことを期待していますか?
N響サウンドを、ジョンの世界でどう化学反応を起こせるか。それが一番楽しみです。
私は、N響に限らずリハーサルで言うことを事前に用意しません。だって、音楽は生き物だから。今起きていること、生きている音に対して声をかけなきゃいけないので。
オーケストラと新しい曲をやる時って、初デートだと思っていて。どんな音が返ってくる?どんな反応?そのときめきがあるからこそ、素敵な音楽が生まれる。N響とは相性抜群なので、そのエネルギーがお客さんに伝わったらいいなと思います。
―最後に、読者のみなさんへメッセージをお願いします。
「クラシックのコンサートは敷居が高い」と思ってしまうかもしれませんが、今回の公演はそうじゃない。「映画が好き」「スター・ウォーズが好き」、タイトルを見て「なんだか気になる」でもオーケー。オーケストラが初めての人のファースト・ステップになってくれたらとても嬉しいです。
「オーケストラの音は、力みすぎても、緩すぎても届かない。コシのある柔らかさが大事」と原田さん。舞台はグランシップ大ホール。「大きいから、頑張らないと」と笑う表情に、挑戦の始まりを感じました。
(取材協力:Bunkamura)
原田慶太楼(指揮者)
1985年東京生まれ。東京交響楽団正指揮者、愛知室内オーケストラ首席客演指揮者兼アーティスティック・パートナー。米国サヴァンナ・フィルとデイトン・フィルの音楽・芸術監督。オペラでもジェームズ・レヴァインやロリン・マゼールのアシスタントを務めた経験を生かして舞台を力強く牽引する、国際的に目覚ましい活躍を続ける期待の俊英。米国ショルティ財団賞や齋藤秀雄メモリアル基金賞など受賞も多数。
kharada.com/@khconductor
原田慶太楼指揮 NHK交響楽団 ~ジョン・ウィリアムズの世界~]
6/27(土)15:00~
グランシップ 大ホール・海
SS席9,000円、S席8,000円、A席6,500円、こども・学生1,000円(S・A席のみ)
※本公演は映画本編の映像を流す演出はございません。