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『バンクシア・トリオ ゲスト:アン・サリー』 バンクシア・トリオ スペシャルインタビュー

2024年7月14日(日)開催! 「Banksia Trio(バンクシア・トリオ) ゲスト:アン・サリー」 
Banksia Trio(バンクシア・トリオ)の3人による、スペシャルインタビュー



-ジャズを聴いたことのない人にも楽しめるジャズがある―
バンクシア・トリオ




日本ジャズ界の重鎮である渡辺貞夫さんや日野皓正さんだけでなく小野リサさんや椎名林檎さんなどトップクラスのミュージシャンからファーストコールが掛かる精鋭によるジャズトリオ。三者三様の活動を三位一体で美しく、スリリングに化学反応を起こし、全国のジャズ・クラブやホールでファンを魅了しています。グランシップでの公演を前に、トリオの音楽観やジャズの魅力などを聞きました。

バンクシア・トリオの活動だけでなく、それぞれがリーダーを務めるバンド活動や舞台・ドラマの音楽制作などで全国から引っ張りだこの3人。静岡にも何度か訪れているそうで、それぞれの「静岡つながり」の話題からトークがはじまりました。



―須川さんは昨年、グランシップで「挾間美帆m_unit」にご出演いただきましたね。

須川 はい。ホールの音響が良くてすごく演奏しやすかったです。その音響を生かそうということで、挾間さんが急遽曲目を変更しましたね。

―林さんは、静岡でダンス公演に携わっていると聞きましたが?

 ここ5年ほど、毎年参加させていただいています。緑に囲まれた野外劇場(舞台芸術公園)でピアノを弾くのがすごく気持ちが良くて、楽しみのひとつになっています。個人的には母が浜松市出身で、静岡のDNAが入っているので馴染みますね。

石若 僕は、小さい頃からタイガー大越さん(トランペット奏者)にお世話になっていて、静岡でライヴがあると、タイガーさんとご飯を食べたりして。だから、静岡と言うと、タイガーさんと会った時の特別感を思い出します。

―3人での演奏経験が全くなかったようですが、なぜ須川さんは2人とトリオを組みたいと思ったのですか?

須川 (石若)駿君とは彼が高校生の頃から共演してきて、林さんとも何度か演奏して、この3人が混ざれば絶対に面白いことになると分かりきっていましたから。

―初ステージは面白いことになりましたか?

須川 もちろん。林さんは、ピアノの音色が本当に美しかった。音色の追求の仕方も、僕が好きなものに近くてしっくりきましたし、駿君は想像通りで。

石若 須川さんとは、僕が北海道から上京した高校1年の頃から演奏する機会が多くて、いろいろ教えてもらいました。インプロヴィゼーション(即興演奏)の場合、自分の音がどういう効果をもたらしているか、音楽が伸縮するためにバンドのどの位置にいるべきかなど。須川さんはそういうふうに音楽を考えている。

―緻密というか、理論的ですね。ジャズは感覚でセッションするものかと。

須川 もちろん感覚は大事です。でも、単なる感覚では良い演奏はできないし、良い感覚は、感覚を研ぎ澄ます練習をしないと身に付かない。2人ともその感覚がすごく磨かれていると思います。

―オリジナル曲が多いようですが、演奏曲へのこだわりやバンドのコンセプトがありますか?

須川 コンセプトは特にないです。オリジナルが多いのは、三人三様で曲を書くので、持ち寄って合わせた時に面白かったりするんですよ。そうすると、「じゃあ、やってみようか」となる。演奏曲は、そのときバンドが何を面白いと思うか、組んだセットリストの中で、どういう景色が見えるかを予想して決めています。

石若 最近は、バンクシア・トリオ(以下バンクシア)で演奏することを想定して作曲することが増えているなと思っています。この3人で楽しくできる音楽を作ろうという、コンセプトではないですけど、魂胆みたいなものが、どんどん深まっていますね。



―林さんの美しいピアノと、須川さん、石若さんの予測不能なリズムセクション。常にグルーヴを期待させる演奏ですが、仕掛けるのはドラムですか?

石若 3人とも仕掛けますが、僕の場合は、ソロ演奏の順番を変えるなど、空気を変化させたい時に積極的に行きます。ソロ演奏はピアノ、ベース、ドラムの順が多いですが、本来決まっていないんですよ。取りたいと思った人が取ればいい。このトリオは、それができる信頼関係がある。どんなかたちで仕掛けても、面白い音楽にできる貴重なトリオです。

―7月の公演が楽しみです!
須川 今回はアン・サリーさんとの共演もありますので、きっとジャズ・スタンダードもやりますね。

 僕個人では、昨年からアンさんと共演していますが、アンさんはすごく繊細に唄われる方で、バンクシアは繊細なものからダイナミックなものまで何でもイケちゃうので、それはそれは素晴らしい演奏になると思います。期待しかない。このトリオとして初共演という点でも楽しみです。

―打楽器奏者の角銅真実さんなど、さまざまなアーティストと共演されています。新しいジャズを創造しようという気概を感じますが。
須川 新しいことをしている感覚はなくて、自分が聴きたいものを演奏しています。それを最大限表現できるのが、このトリオです。

―みなさんの、「ジャズに惹かれた瞬間」を教えてください。
石若 人生で初めて見たライヴが、ドラムの森山威男さんとサックスの松風鉱一さんのフリージャズ。4歳頃でした。激しくて、かっこよくて、目の前で打ち上げ花火を見ているようで。それでドラマーになろうと思ったので、僕の好きなジャズはそこかな。

須川 僕は、高校生の時にビル・エヴァンス・トリオのスコット・ラファロやミロスラフ・ヴィトウスを聴いて、「こういう表現もあるんだ」と衝撃をうけて。そこからジャズですね。

 高校1年生の時、何気なく図書館で借りてきたビル・エヴァンスのCDにやられちゃって…。僕が知っているディズニーの曲をものすごくかっこよく弾いていて、その瞬間に「ジャズやろう!」と思いました。

―誰でもジャズを好きになれる。
須川 きっとそうだと思います。いろいろな音楽にジャズの要素が入り込んでいるし、ジャズの括りも幅広くなっているから、聴いたことのない人にも楽しめるジャズがあると思います。

―最後に、読者の方々にメッセージをお願いします。

石若 その日にしか聴けないので、来ないと損すると思います(笑)。迷っているなら、絶対に来たほうがいいです。

須川 ライヴは生ものですからね。その日の僕たち、グランシップの音響、お客さん…、演奏は始まってみないと分からない。お客さんも含めて音楽が変わっていくと思うので、その日限りの演奏を楽しんでいただきたいですね。

 ジャズを聴いたことがなくても難しい音楽だと思わずに、気軽に来てみませんか。ジャズを好きになったきっかけがバンクシアであれば僕も嬉しいです。アン・サリーさんとの化学反応も相当良いものになるとイメージできているので、楽しみにして来てください。




取材の約1時間後には本番のステージに立っていた3人。サウンドを支えながらも華麗に疾走する須川さんのベース、演奏も表情も豊かな林さんのピアノ、石若さんの“花火”のようなドラムも圧巻でした。身体が揺れずにはいられない怒涛のグルーヴ感を、すぐにでも静岡のみなさまにお聴かせしたい気持ちでいっぱいになりました!



Banksia Trio バンクシア・トリオ (須川崇志/ベース 林 正樹/ピアノ 石若 駿/ドラム)
2017年に結成。同年8月に都内ジャズクラブ「BODY & SOUL」で初ライヴを行う。気鋭のジャズレーベルDays of Delightより1stアルバム、2ndアルバムを発表。近年は、ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」の音楽制作への参加、「TOKYOJAZZ 20th」に出演。2023年に3rdアルバム「MASKS」をリリース。2024年の中頃にライブアルバムを発表する予定で現在準備をしている。バンド名の由来はオーストラリア原産のヤマモガシ科の花。燃えることによってのみ種子が播かれる命のつなぎ方に惹かれ、命名された。


Banksia Trio ゲスト:アン・サリー
7/14(日)15:00開演
グランシップ 中ホール・大地
全席指定/一般5,000円、こども・学生1,000円

 

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